ジュラルミン旋盤加工で失敗を避け、精度高く部品を仕上げたい場合
意味・定義
ジュラルミンはアルミニウムに銅・マンガン・マグネシウムを加えた高強度合金で、熱処理状態によって硬度や加工性が異なります。代表的な種類は以下の通りです。
- T3材:自然時効済みの状態で切削性は比較的良好。軽量部品や構造部材に適する
- T6材:人工時効による硬化状態。強度は高いが切削性は低く、工具摩耗や割れに注意
旋盤加工では、ジュラルミンの硬度・形状・寸法精度要求に応じて切削条件や工具を選定する必要があります。
基準・考え方
- 加工条件の設定
ジュラルミンは硬度が高く、T6材は特に割れや工具摩耗のリスクがあります。切削速度、送り量、切込み深さは以下を目安にします。材質 回転数(rpm) 送り(mm/rev) 切込み深さ(mm) T3材 1500〜3000 0.05〜0.3 1〜3 T6材 1000〜2500 0.03〜0.2 0.5〜2 冷却液の使用や刃物の材質選定も重要です。工具選定に関して解説で詳しく解説しています。
- 形状・寸法精度の考慮
薄肉材や長尺材は変形リスクが高く、治具での固定が必須です。複雑形状の場合は段取り順序を工夫し、加工中の応力を最小化します。精密組み付け部品の場合は、加工後の寸法精度を検証することも重要です。精密加工の注意点で詳しく解説しています。 - 工具・刃物の選定
高硬度ジュラルミンには超硬工具やコーティング工具が推奨されます。刃先角度やチップ材質によって切削負荷や表面粗さが変わります。表面仕上げが求められる部品では、切削条件と刃物状態を適切に管理することが不可欠です。
注意点
- T6材は硬度が高く、切削速度や切込み深さを誤ると割れや工具摩耗の原因になる
- 薄肉や長尺部品は変形しやすく、固定治具の使用が必須
- 複雑形状は段取りや切削方向の順序を考慮しないと精度が安定しない
- 加工後の熱処理状態に応じて条件を調整する必要がある
- 冷却液や切削油を適切に使用して表面粗さと工具寿命を確保する
よくある誤解
- ジュラルミンはアルミと同じ条件で加工可能:硬度が高く、T6材は特に条件管理が必須
- 高速で加工すれば効率が上がる:過度な速度は割れや工具摩耗を招く
- 薄肉でも自由に加工できる:変形や割れのリスクがあるため固定や工具選定が重要
- 表面仕上げは後加工で簡単に修正可能:切削条件で表面粗さは決まるため事前管理が必要
ジュラルミン旋盤加工は、材質・熱処理・形状・切削条件の理解が不可欠です。適切に条件を設定することで精度と安全性を両立できます。航空機部品や精密機械部品など高精度要求の加工では、必ず事前に加工条件を検討してください。
よくある質問
ジュラルミンT6材はなぜ切削が難しいのですか?
ジュラルミンT6材は人工時効によって硬化しており、強度が高く切削抵抗も大きいため、工具摩耗や割れのリスクが高くなります。切削速度や切込み深さを適切に設定し、超硬工具やコーティング工具を使用することで安全に加工可能です。
薄肉部品や長尺材を旋盤加工するときの注意点は何ですか?
薄肉材や長尺部品は変形しやすいため、必ず治具で固定することが必要です。また、段取り順序や切削方向を工夫し、加工中の応力を最小化することで寸法精度を確保できます。無理な切込みは避け、加工条件を調整してください。
ジュラルミン加工で表面粗さを安定させる方法は?
表面粗さは切削速度、刃先角度、刃物の材質、冷却液の使用状況で変わります。高速加工や刃物摩耗は表面荒れの原因になるため、切削条件を適切に管理し、必要に応じて刃物交換や冷却液の使用を徹底することが重要です。
ジュラルミンT3材とT6材の加工性の違いは何ですか?
T3材は自然時効状態で比較的切削しやすく、軽量部品や構造部材に向きます。一方、T6材は人工時効で硬化しているため、切削性は低く工具摩耗や割れのリスクが高いです。用途に応じて材質の選定と切削条件の調整が必要です。